コラム
風疹は「風疹ウイルス(Rubella virus)」によって引き起こされる感染症で、発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。風疹ウイルスは 飛沫感染・接触感染・空気感染 のいずれかで、人から人へ広がります。
風疹に感染しても多くの場合は軽症で済みますが、妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに深刻な影響を及ぼすことがあります。
妊娠初期(妊娠20週頃まで)に風疹ウイルスに感染すると、胎児に「先天性風疹症候群(CRS)」が起こる可能性があります。これは、
● 心疾患
● 難聴
● 白内障
● 発育遅延
などを引き起こす重大な疾患で、一度発症すると根本的な治療法はありません。
したがって、感染を予防することが非常に大事です。
風疹に対する免疫(=抗体)は、過去に風疹にかかったり、ワクチンを接種することで体内に作られます。
この抗体が一定量以上あると、風疹ウイルスが体内に入ってきても感染を防ぐことができます。しかし、抗体がなかったり、少ない(=不十分)状態では、感染を完全に防ぐことができないため、風疹にかかるリスクがあります。
妊活・不妊治療を始められる際には、風疹抗体が十分にあるか(=風疹に対する免疫があるか)の確認が大切です。抗体が不十分なまま妊娠し、妊娠初期に風疹にかかってしまうと、赤ちゃんに影響が出るリスクが高くなります。
そのため、妊活や不妊治療を始める前に風疹抗体の検査を行うことをおすすめします。
風疹抗体検査は、血液検査によって抗体の有無やその量を調べるものです。
代表的な検査方法としては HI法 と EIA法 があり、当院では、HI法(赤血球凝集抑制法)での検査を行っています。
HI法 | 判定 | 解釈 |
32倍以上 | 抗体が十分 | 風疹に対する免疫があります |
8〜16倍 | 抗体が不十分 | ワクチン接種が勧められます |
8倍未満 | 抗体なし | ワクチン接種が勧められます |
風疹は空気感染するため、妊婦の周囲にいる人が感染源になることもあります。
特にご主人やパートナーは、一緒に風疹抗体検査を受けることをおすすめします。
※料金は全て税込価格です。
抗体が不十分と判断された場合には、「風疹単独ワクチン」または「麻疹風疹混合ワクチン」を接種します。
ワクチンが生ワクチンであるため、女性の場合は 接種後2ヶ月間の避妊 が必要となります。
現在、多くの自治体で妊娠を予定する女性やその同居者を対象に、風疹抗体検査やワクチン接種に対する助成を行っております。
当院では、渋谷区の助成 により以下に該当する方は無料で風疹ワクチンを接種することができます。
接種日現在、19歳以上で渋谷区に住民登録があり、風しん抗体価が低い(HI法で16倍以下またはEIA-IgG価8.0未満)ことが明らかで、次のいずれかに該当する人
渋谷区の助成制度については こちら をご覧ください。
その他の地域については、お住いの自治体のホームページをご確認ください。
当院では、妊活や不妊治療を始められる方に向けた検査セットをご用意しております。
風疹抗体だけでなく、妊娠に向けて必要な検査をまとめて受けることができます。
これから妊活を始められる方へ
現在の身体の状態を把握しましょう!
おすすめ検査:ブライダルチェック
なかなか妊娠せず不妊治療を検討される方へ
不妊の原因を探り、適切な治療を開始しましょう!
おすすめ検査:不妊検査
風疹抗体は不十分とは、風疹の感染を防ぐのに十分な免疫がない状態ということです。
風疹にかかるリスクがあり、ワクチン接種がすすめられます。
はい。ぜひ検査を受けることをおすすめします。
風疹は空気感染します。妊娠中の助成にとって、周囲の人からの感染が大きなリスクになるため、お二人揃っての検査と、必要に応じてワクチンの接種が大切となります。
風疹抗体検査は血液検査で行います。
検査自体は5分程度で終了し、結果は1週間後に出ます。ご来院のうえ、医師より結果を説明致します。
はい。
当院での抗体検査やワクチン接種は 自費診療 となります。
多くの自治体で、妊娠を希望する助成やその同居者を対象とした助成制度があるため、お住まいの自治体に確認してみましょう。
過去に風疹にかかったことがあっても、抗体が十分でない場合もあります。
一度検査を受けることをおすすめします。
ごく稀に感染するケースがありますが、抗体が十分であれば重症化や胎児への影響のリスクは極めて低いと考えられます。