「着床前遺伝学的検査(PGT: Preimplantation Genetic Testing)」は、体外受精(ART)によって得られた受精卵(胚)に対して行う遺伝子検査です。胚移植の前に染色体の数や構造の異常を確認することで、より妊娠しやすい胚を選択することができます。
当院で実施するPGTには、以下の2種類があります。
| PGT-A(着床前胚染色体異数性検査) | 胚の染色体の「数」の異常を調べる検査です。 |
| PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査) | 胚の染色体の「構造」異常(転座・逆位など)を調べる検査です。 |
PGT-Aは、胚の染色体の「数」が正常かどうかを調べる検査です。
人間の染色体は46本ですが、この数に過不足があると、不妊や流産の原因となることがあります。
疾患例:13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー など
日本産婦人科学会の規定に従い、以下のいずれかの条件を満たした場合を検査対象とします。

PGT-Aに関する詳しい情報については こちら をご参照ください。
PGT-SRは、胚の染色体の「構造」異常(転座・逆位など)を調べる検査です。
ご自身が染色体構造異常をお持ちの場合、普段の健康には影響しなくても、胚に遺伝した場合には不妊や流産の原因となることがあります。
※ PGT-SRを行う際には、同時にPGT-Aも行います。
※ PGT-SRを希望される方は、ご夫婦揃っての事前カウンセリングが必須となります。

1.採卵・体外受精
採取した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵(胚)を得ます。
2.胚の培養
受精卵を5日程度培養し、胚盤胞という状態まで育てます。
3.胚の細胞を採取(生検)
胚盤胞の外側の細胞(=将来胎盤になる栄養外胚葉)から細胞を数個、慎重に採取します。
胚盤胞の内側の細胞(=将来胎児になる内細胞塊)を傷つけないため、より安全な手技と言えます
生検後の胚盤胞は、検査結果が出るまで一旦凍結保存されます。
4.染色体情報の解析
採取した細胞は担当の検査機関へ送られます。
次世代シークエンサー(NGS)や人工知能(AI)を組み合わせて、染色体情報を解析します。
5.検査結果の報告
医師より検査結果と、その結果に基づいた治療計画をご説明いたします。
当院では臨床遺伝専門医の資格を持った医師が、検査結果の報告およびカウンセリングを行います。

| 判定 A | すべての染色体が正倍数性または構造的異常がない胚 | 結果に問題を認めないため、優先的に移植を行います。 |
| 判定 B | すべての染色体が正常とも異常とも言えない胚 (多くは「モザイク胚 」を指す) | 結果の解釈に若干の困難を伴うため、慎重に移植を検討します。 |
| 判定 C | 染色体の異数性または構造異常を有する胚 | 移植には適さないため、廃棄します。 |
| 判定 D | 解析結果の判定が不能な胚 | 移植には適さないため、廃棄します。 |

PGT-AおよびPGT-SRは自費診療となります。
そのため初診の診察から検査や採卵、胚移植まですべて自費で行う必要があります。
※ 保険診療で採卵した受精卵(胚)にPGT検査を行うことはできません。
※料金は全て税込価格です。
自費診療での採卵・胚移植料金については こちら をご参照ください。
日本産婦人科学会では、PGT-AおよびPGT-SRに対する理解を深めてもらうための動画を公開しています。
① 「不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)」について
② 「PGT-Aの検査対象をなぜ限定しているのか」
上記動画をご視聴のうえ、「PGT-A・SR動画視聴確認シート」で内容の確認をお願い致します。
理解できなくてチェックがつかなかった項目につきましては、担当医師にお気軽にお尋ねください。
PGT-A・SR動画視聴確認シート
着床前遺伝子検査をご希望の方は、事前にカウンセリングをお受けください。
臨床遺伝専門医の医師が、患者様の背景やこれまでの治療経過をお伺いし、最適な検査・治療をご案内いたします。
他院で不妊治療中の患者様も、セカンドオピニオンを受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。
※料金は全て税込価格です。
他院で凍結保存している受精卵に対して、胚移送をしてのPGTは可能ですか?
自費診療での採卵で得られた受精卵であれば、他院で凍結保存していても、当院でPGTを行うことが可能です。ただし、凍結胚に対してPGTを行う場合、胚融解➔再凍結が必要となり胚へのダメージが大きくなりますので、PGTに向けて再度採卵をすることをおすすめいたします。
保険診療で採卵した受精卵に対して、PGTは可能ですか?
保険診療で採卵した受精卵に対して、PGTは行えません。もう一度自費診療での採卵が必要となります。
PGTを行えば、健康な赤ちゃんが産めますか?
PGTには限界があり、診断自体が100%正しいわけではないことと、染色体異数性および構造異常以外の原因による不妊・流産・先天性異常を避けることはできません。
また、PGTを行った受精卵から出生した児の長期的な健康状態についても、データが不十分であるため不明な点があります。
性別は教えてもらえますか?
性別は一切お知らせしておりません。
「検査対象となる条件」に当てはまらなくても、検査はできますか?
日本産婦人科学会の細則に従い、条件に当てはまらない方へのPGTは行えません。
自費診療での採卵・胚移植の際に、先進医療の技術を実施した場合、東京都の助成金の対象となりますか。
PGTを行う場合は、採卵・胚移植が全額自費となるため、先進医療に対する助成金の対象とはなりません。