卵子凍結

卵子凍結とは、卵巣から卵子を体外に取り出し(採卵)、未受精のまま凍結することです。
卵子を凍結保存しておくことで、年齢などによる卵子の質や卵巣機能の低下を回避し、将来の妊娠率を上げることが期待されます。

現代の女性のライフプランを考える上で、卵子凍結は大切な選択肢の一つとなります。

卵子凍結とは

卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて卵巣から卵子を体外に取り出し(採卵)、未受精のまま凍結することです。
通常の不妊治療で行われる胚凍結は、卵子をパートナーの精子と受精させた状態(受精卵の状態)で凍結を行いますが、卵子凍結は卵子(未受精卵の状態)のみを凍結します。
したがって、一般的に卵子凍結はまだパートナーが決まっていない女性が対象となります。

卵子凍結の適応

卵子凍結は、主に2つの適応に対して行われる医療行為です。
当院では、健康な43歳未満の女性 を対象に「2. 社会的適応」に対する卵子凍結を行っております。

1. 医学的適応
病気や病気のための治療により妊娠しにくくなることが懸念される場合に行われる卵子凍結を言います。
例えば、悪性腫瘍などに罹患した未婚の女性は、その治療を行うことにより卵巣機能が大きく低下することが予想されるため、将来の妊娠を目指し治療前に採卵、卵子凍結を行います。

2. 社会的適応
健康な女性が、年齢とともに妊娠しにくくなることを懸念する場合に行われる卵子凍結を言います。
生殖補助医療においても、女性の妊娠率は年齢とともに低下することが分かっています。特に35歳あたりを過ぎると、その確率は急激に低下してしまいます。
さまざまな理由により現時点では妊娠・出産のご予定がなくても、卵子を凍結保存しておくことで、加齢による影響を回避し将来の妊娠・出産に備えることができます。

卵子凍結のメリット

1. 卵子の質を一時的に止めておける
女性の卵子は、生まれる前の胎児期に作られて以降その数が増えることはありません。作られた卵子は、成熟の途中で眠った状態になっており、思春期以降に順番に成熟し排卵します。しかし、作られた卵子がすべて排卵するわけではなく、その多くが時間の経過とともに減少していきます。
また、胎児期に作られた卵子は、女性の年齢と同じだけの年月を過ごすことになり、時間ともに質の変化も受け続けることになります。このように、年齢を重ねると卵子の量と質の両方が低下していくこととなり、妊娠率も低下していきます。
卵子を凍結保存しておくと、凍結したときの状態を一時的に止めておける、という効果があります。

2. 不妊の原因となる病気にかかるリスクに備える
年齢を重ねるにつれて、さまざまな病気になるリスクも上がります。中には、妊娠のしやすさに影響を及ぼす病気もあります。
卵巣がさまざまな病気にかかる可能性を考慮すると、健康なうちに卵子を凍結しておくことで、そういった病気の心配から開放される、という効果があると言えます。

卵子凍結のデメリット

卵子凍結は、将来の妊娠・出産を約束するものではありません。卵子凍結を行う際には、以下のことを念頭に置く必要があります。
当院では卵巣凍結の治療成績と、将来妊娠・出産をする際の合併症のリスクを考慮し、治療の対象を 43歳未満 とさせて頂いております。

1. 治療成績の限界
パートナーが決まっている場合に行う胚(=受精卵)凍結と、卵子(=未受精卵)凍結では、最終的に赤ちゃんを得ることができる可能性に大きな違いがあります。
胚凍結では、凍結状態から融解したらすぐに子宮内に移植できる状態です。一方、卵子凍結の場合は、凍結状態から融解してから子宮内に移植するまでに、精子との受精が成立し、細胞分裂を繰り返して胚となるまでのステップを踏む必要があり、移植までたどり着けない可能性を考えなくてはなりません。卵子凍結を行った年齢や精子の状態にもよりますが、1つの卵子凍結を行った場合、最終的に赤ちゃんが誕生するまでの確率は4.5〜12%とそれほど高くはありません。

卵子凍結を行う時期が36歳未満であれば10〜15個以上、36歳以上であれば15〜20個以上の卵子を凍結しておくことが望ましいです。

2. 高齢になってからの妊娠・出産のリスク
卵子凍結は、卵子の年齢を一時的に止めておくことはできますが、母体の年齢を止めることはできません。
年齢を重ねてからの妊娠・出産は、若い頃に比べてさまざまな合併症を引き起こすリスクも大きくなります。妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにより、胎児の発育に問題が生じたり、早産となることもあり、胎児と母体の双方にとって大きな負担となります。また、年齢を重ねてからの出産は、分娩が途中で止まってしまったり、分娩後の出血量が多くなるリスクも高くなります。
卵子凍結により将来の妊娠を目指すことは、年齢とともに上昇する合併症のリスクへの理解と準備も必要となります。

当院での治療

  1. 初診・検査

    治療を開始する前に、超音波検査や感染症検査、ホルモン検査などを行います。

  2. 卵巣刺激

    月経開始後3日目ごろから最小限の排卵誘発剤(内服薬もしくは注射薬)を使用し、卵巣刺激を行います。超音波検査と血液検査を行い、卵胞が十分に発育したと判断したら、採卵日に向けて卵子を成熟させます。

  3. 採卵

    卵巣を穿刺し、卵子を採取します。当院で使用する穿刺針は細く、痛みは殆どなく無麻酔での採卵が可能です。麻酔をご希望される方は、局所麻酔を使用いたします。

  4. 卵子凍結

    採卵した卵子は、液体窒素の中で凍結保存されます。卵子は長期保存が可能ですが、妊娠・出産に伴うさまざまなリスクを考慮し、お預かりとそのご使用につきましては50歳未満としております。

  5. 融解後の顕微授精と胚移植

    将来的に妊娠を希望する際には、凍結卵子を融解して顕微授精を行い、 得られた胚(受精卵)を移植をします。その際には精子が必要となり、その精子の提供者は婚姻関係、または内縁の関係であることが条件となっております。

当院では費用が明瞭なパッケージプランをご用意しました。
将来のライフプランとともに、卵子凍結のメリットとデメリットを考慮し、治療をご検討ください。

料金

自費診療(自由診療)
卵子凍結
  • 卵子凍結パッケージプラン
    初回
    330,000円
    2回目以降
    275,000円
    ※採卵費用、卵子凍結費用、1年間の保管費用を含む
  • 凍結更新料(1年後以降1年ごと)
    1-3個
    33,000円
    4-6個
    66,000円
    7-9個
    99,000円
    10個以上
    33,000円/3個

※料金は全て税込価格です。