着床前遺伝学的検査(PGT-A / PGT-SR)

着床前遺伝学的検査(PGT)とは?

「着床前遺伝学的検査(PGT: Preimplantation Genetic Testing)」は、体外受精(ART)によって得られた受精卵(胚)に対して行う遺伝子検査です。胚移植の前に染色体の数や構造の異常を確認することで、より妊娠しやすい胚を選択することができます。

当院で実施するPGTには、以下の2種類があります。

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)胚の染色体の「数」の異常を調べる検査です。
PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)胚の染色体の「構造」異常(転座・逆位など)を調べる検査です。

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)について

PGT-Aは、胚の染色体の「数」が正常かどうかを調べる検査です。
人間の染色体は46本ですが、この数に過不足があると、不妊や流産の原因となることがあります。
疾患例:13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー など

検査対象となる条件

日本産婦人科学会の規定に従い、以下のいずれかの条件を満たした場合を検査対象とします。

  • 胚移植を行い、胎嚢が確認できなかった経験が2回以上ある場合(不妊症
  • 胎嚢確認後に流産された経験が2回以上ある場合(不育症
  • 女性のご年齢が35歳以上で、不妊症と診断された場合(高齢女性
35歳以上の高齢女性、ART治療が成功しない方、流死産を繰り返す方は、PGT-Aの検査対象となります。

期待されるメリット

  • 妊娠率の向上:染色体数が正常な胚を選ぶことで、着床する確率を高めます。
  • 流産率の低下:染色体数の異常が原因で起こる流産を予防する可能性があります。
  • 負担の軽減:移植前に検査することで、無駄な胚移植を減らし、身体的・経済的な負担を軽減できます。

デメリット・注意点

  • 検査による侵襲:検査のために胚の細胞を一部取り出す際、物理的なダメージが生じるリスクがあります。
  • 検査の限界:診断の正確性は100%ではありません。
    PGTを行っても正常胚が得られない場合や、正常胚を移植しても妊娠しないもしくは流産をする可能性はあり、また染色体異常に起因しない流産は防ぐことができません。
  • モザイク胚の扱い:正常と異常な細胞が混在する「モザイク胚」については、移植に適しているか個別の判断が必要となり、担当医との十分な相談の上で判断する必要があります。
  • 費用の負担:現時点でPGT-Aは保険適用外のため、採卵費用からすべて自費診療となります。

PGT-Aに関する詳しい情報については こちら をご参照ください。

PGT-SR(着床前胚染色構造異常検査)について

PGT-SRは、胚の染色体の「構造」異常(転座・逆位など)を調べる検査です。
ご自身が染色体構造異常をお持ちの場合、普段の健康には影響しなくても、胚に遺伝した場合には不妊や流産の原因となることがあります。
※ PGT-SRを行う際には、同時にPGT-Aも行います。

検査対象となる条件

  • ご夫婦いずれかに染色体構造異常(染色体均衡型転座など)を有する場合

※ PGT-SRを希望される方は、ご夫婦揃っての事前カウンセリングが必須となります。

ご夫婦どちらかに染色体構造異常があると診断された場合は、PGT-SRの検査対象となります。

期待されるメリット

  • 妊娠率の向上:染色体数・構造が正常な胚を選ぶことで、着床・妊娠する確率を高めます。
  • 流産率の低下:染色体数・構造の異常が原因で起こる流産を予防する可能性があります。
  • 負担の軽減:移植前に検査することで、無駄な胚移植を減らし、身体的・経済的な負担を軽減できます。

デメリット・注意点

  • 検査による侵襲:検査のために胚の細胞を一部取り出す際、物理的なダメージが生じるリスクがあります。
  • 検査の限界:診断の正確性は100%ではありません。
    PGTを行っても正常胚が得られない場合や、正常胚を移植しても妊娠しないもしくは流産をする可能性はあり、また染色体異常に起因しない流産は防ぐことができません。
  • モザイク胚の扱い:正常と異常な細胞が混在する「モザイク胚」については、移植に適しているか個別の判断が必要となり、担当医との十分な相談の上で判断する必要があります。
  • 費用の負担:現時点でPGT-SRは保険適用外のため、採卵費用からすべて自費診療となります。

着床前遺伝学的検査(PGT)の実際

検査の流れ

1.採卵・体外受精 
  採取した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵(胚)を得ます。

2.胚の培養
  受精卵を5日程度培養し、胚盤胞という状態まで育てます。

3.胚の細胞を採取(生検)
  胚盤胞の外側の細胞(=将来胎盤になる栄養外胚葉)から細胞を数個、慎重に採取します。
  胚盤胞の内側の細胞(=将来胎児になる内細胞塊)を傷つけないため、より安全な手技と言えます
  生検後の胚盤胞は、検査結果が出るまで一旦凍結保存されます。

4.染色体情報の解析
  採取した細胞は担当の検査機関へ送られます。
  次世代シークエンサー(NGS)や人工知能(AI)を組み合わせて、染色体情報を解析します。

5.検査結果の報告
 医師より検査結果と、その結果に基づいた治療計画をご説明いたします。
 当院では臨床遺伝専門医の資格を持った医師が、検査結果の報告およびカウンセリングを行います。

PGT-AおよびPGT-SRの検査の流れについてご説明しております。

検査結果の解釈

判定 Aすべての染色体が正倍数性または構造的異常がない胚結果に問題を認めないため、優先的に移植を行います。
判定 Bすべての染色体が正常とも異常とも言えない胚
(多くは「モザイク胚 」を指す)
結果の解釈に若干の困難を伴うため、慎重に移植を検討します。
判定 C染色体の異数性または構造異常を有する胚移植には適さないため、廃棄します。
判定 D解析結果の判定が不能な胚移植には適さないため、廃棄します。
PGTの結果は判定Aの正常胚、判定Bのモザイク胚、判定Cの異常胚に大別される。

料金

PGT-AおよびPGT-SRは自費診療となります。
そのため初診の診察から検査や採卵、胚移植まですべて自費で行う必要があります。
※ 保険診療で採卵した受精卵(胚)にPGT検査を行うことはできません。

  • PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)
    110,000円/個
  • PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)
    110,000円/個

※料金は全て税込価格です。

自費診療での採卵・胚移植料金については こちら をご参照ください。

着床前遺伝学的検査(PGT)をお考えの方へ

動画視聴および確認シートご記入のお願い

日本産婦人科学会では、PGT-AおよびPGT-SRに対する理解を深めてもらうための動画を公開しています。

「不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)」について
「PGT-Aの検査対象をなぜ限定しているのか」

上記動画をご視聴のうえ、「PGT-A・SR動画視聴確認シート」で内容の確認をお願い致します。
理解できなくてチェックがつかなかった項目につきましては、担当医師にお気軽にお尋ねください。
PGT-A・SR動画視聴確認シート

カウンセリング・セカンドオピニオンのご案内

着床前遺伝子検査をご希望の方は、事前にカウンセリングをお受けください。
臨床遺伝専門医の医師が、患者様の背景やこれまでの治療経過をお伺いし、最適な検査・治療をご案内いたします。

他院で不妊治療中の患者様も、セカンドオピニオンを受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。

  • カウンセリング(30分)
    11,000円
  • セカンドオピニオン(30分)
    11,000円

※料金は全て税込価格です。

よくあるご質問

  1. 他院で凍結保存している受精卵に対して、胚移送をしてのPGTは可能ですか?

    自費診療での採卵で得られた受精卵であれば、他院で凍結保存していても、当院でPGTを行うことが可能です。ただし、凍結胚に対してPGTを行う場合、胚融解➔再凍結が必要となり胚へのダメージが大きくなりますので、PGTに向けて再度採卵をすることをおすすめいたします。

  2. 保険診療で採卵した受精卵に対して、PGTは可能ですか?

    保険診療で採卵した受精卵に対して、PGTは行えません。もう一度自費診療での採卵が必要となります。

  3. PGTを行えば、健康な赤ちゃんが産めますか?

    PGTには限界があり、診断自体が100%正しいわけではないことと、染色体異数性および構造異常以外の原因による不妊・流産・先天性異常を避けることはできません。
    また、PGTを行った受精卵から出生した児の長期的な健康状態についても、データが不十分であるため不明な点があります。

  4. 性別は教えてもらえますか?

    性別は一切お知らせしておりません。

  5. 「検査対象となる条件」に当てはまらなくても、検査はできますか?

    日本産婦人科学会の細則に従い、条件に当てはまらない方へのPGTは行えません。

  6. 自費診療での採卵・胚移植の際に、先進医療の技術を実施した場合、東京都の助成金の対象となりますか。

    PGTを行う場合は、採卵・胚移植が全額自費となるため、先進医療に対する助成金の対象とはなりません。